カスパールの咆哮

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 生徒会の朗読劇『三賢人の来訪』は、祝会の一番最後に上演される。 聖誕祭の〆、――大トリを飾ると言えば確かにそうだし、聞こえもいい。  しかし、これが終われば、それぞれ自分のクラスで成績表を受け取って冬休みへと入る生徒(ヒツジ)たちは皆、気もそぞろだった。 抑え切れない密かな興奮の鳴き声が、聖堂の席から立ち上っているような気が大磯にはした。  あの中に、去年は自分も居た――。 舞台の端ギリギリから、灰色の詰襟の制服姿の生徒たちを見渡す。 あの場所から、彼を見ていた。 将棋部部長ではなく、『盤上の君』でもない生徒会会長である彼を、彼だけを見つめていた。  今、その彼は舞台の上にはいないが、朗読者として先立って、自分を含む三賢人役たちを導いてくれている。  「イエズスは、ヘロデ王のとき、ユダヤのベトレヘムでお生まれになった。そのころ、東の国の博士たちが、イエルザレムに来て、『お生まれになったユダヤの王さまはどこにおいでになるのか。われわれは、その星がのぼるのを見たので、おがみにきた』とたずねた」
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