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§1
その日の夜だった。
「あの、今日の夜、何か予定あります?」
二つ年下の新人くん。他の部署から転任してきた。
「特に用事はないけど」
私より少し背の高い、ほっそりとした華奢なタイプの男の子。
「ちょっと聞きたいことがあるんですけど」
仕事のことかと尋ねたら、違うと首を振るので、じゃあ終わってからねと返事をした。
「突然ですいません」
まっかな顔をして、そそくさと立ち去るから、なんだかこっちも恥ずかしくなる。
彼が転任してきてから半年、ずっとめんどうをみてきた。
少しぼーっとしてて頼りないけど、憎めないかわいらしさと愛嬌がある。
よく出来た弟みたいで……ちょっといいなって、思ってた。
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