§2

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「その人の好きなものは?」 「わかりません」 「聞けばいいじゃない」 「だから聞いてるんです」 「どんなタイプ?」  彼は首をかしげると、ちょっと考えてから言った。 「なんていうか、その、ちょっとおっちょこちょいで、しっかりしてるけどどっか抜けてて、なんかこう、俺が守ってあげなきゃって思うタイプです」  私は呆れた顔で、彼を見上げる。 「あんたに守ってもらわないといけないような女の子って、よっぽど抜けてるのね」 「まぁ、天然ですからね」  うれしそうに、にこにこしながら照れ笑いするから、聞いてるこっちがバカらしくなる。 「お腹、すきません? なんか食べます?」 「は?」 「今日つき合ってくれたお礼に、僕がおごります」 「いらない」 「え? なんでですかぁ~!」  歩調を早めた私を追いかけて、彼は隣に並んだ。 「どっかで、ご飯でもって思ってたんですけど」 「いいって、気にしないで」 「なんか、怒ってます?」 「キミにこれだけ信頼されてて、ホントありがたいわ」 「じゃ、じゃあ、先輩の好きな焼き鳥か、あ、手っ取り早くラーメンにでもします? どうですか? え、やっぱダメ?」 「いまダイエット中なの、あんたの用事を済ませたら、家に帰って一人で食べるから安心して」  ふと見ると、目の前に一件の花屋さんがあった。 「花束は?」 「花束、ですか?」  後輩くんの顔がゆがむ。 「だって、花束って、もらって困るものランキングの常連じゃないですか」 「うれしいものランキングの常連でもあるわよ」 「花束だけはやめろって」 「誰が言ってたの?」 「どっかのウェブニュース」  私は迷わず、花屋に足をふみ入れた。
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