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商店街
あたしは、そっと目を開けた。
「商店街・・・」
瑠花の呟きに、コクリと頷く。
あたしたちは、あの奇妙な歪みに呑み込まれたのだろうか・・・どこかの商店街に来ていた。
・・・商店街、というよりも、シャッター街といった方がいい。ほとんどの店はシャッターが下りている。
でも、その中に何軒か、シャッターの下りていない店があった。瑠花がそれを見て
「心音ちゃん!店、店!誰かいるかも!」
と叫ぶ。あたしは
「ほんとだ!行ってみようよ!」
と言って、駆け出した。瑠花があたしを追いかけてくる。
自動ドアは、ちゃんと動いてくれるようでよかった。
中にそっと足を踏み入れ、辺りを見渡した。
・・・誰もいない。
「誰かいると思ったのに・・・残念・・・」
瑠花が悲しそうに呟いた。あたしも残念だ。
「まぁ、あと何軒かあるし、見てみよ!」
暗い気持ちを振り払うべく、明るい声を出して、2人で歩いた。
それから何軒か覗いてみたのだが、どの店でも、人を見つけることはできなかった。
これでシャッターが下りていない店は最後。
そっと、店の中を覗く。
(どうせ、また誰もいないんだろうけど・・・)
なんて思い、そっと溜息をつきながら。
あたしが諦めかけていたそのとき、ちょっと離れたところで、瑠花が
「ちょっと、心音ちゃん!小さい子が!」
と半ば叫ぶように言った。
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