起きたっ!

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起きたっ!

あたしは驚いた。 服屋の棚の影で、女の子が眠っていたから。 どうせ誰もいないだろう、と諦めかけていたのに。瑠花は諦めてなかったみたいだ。 小学生くらいだろうか。パーカーと短パン姿の、ツインテールの子。かなり、整った顔をしている。ボーッと眺めていたら、瑠花が 「起きて、おーい!」 と言ってしゃがみ、その子の肩を揺さぶり始めた。あたしもその横にしゃがんで、それを見る。しばらくしてその子が 「う、うう、ん?」 と言って、起き上がった。 あたしと瑠花は 「起きたっ!」 と言って、どちらからともなく顔を見合わせ、笑いあった。 その子は、当然だけれど、状況がわかっていないようだ。首を傾げ、瞳を潤ませて 「あんた達、誰?ここ、どこ?」 とあたし達を見て言った。
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