りり

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りり

私・・・瑠花が、その子の質問に答えようとしていると、心音が先に 「私は心音。で、こっちが瑠花だよ」 と答えてから 「あなたの名前は?どうやってここに来たか、わかる?」 と尋ねた。こういうとき、どんな人とも躊躇わずに話せる心音が羨ましい。 ちょっと間を置いて、その子は 「ボク、りりって言うの。でね、えっと、気づいたら、あの店で寝てたの・・・」 と言って、そっと俯いた。 私が、ボクっ娘って本当にいるんだ・・・などとどうでもいいことを考えているうちに、心音が、俯いたりりちゃんを心配してか 「どうしたの?どこか痛かったりする?」 と不安げに呟いた。私もハッと我に返り、りりちゃんの顔を覗き込む。りりちゃんは 「何かね、大事なこと、忘れてる気がして、すっごく悲しくて、でも、思い出せないの」 と答えた。そう言ったあと、苦しそうに瞳を潤ませ、短パンの裾を握りしめる。 私が、どうすることもできず慌てていた、そのとき、心音が 「りりちゃん、あたし達と一緒に行こ? 1人でいるわけにはいかないでしょ?」 と優しく言った。りりちゃんは、突然のことに驚いたのか、目をぱちくりながら 「でも、知らない人には、ついてっちゃだめだって・・・」 と口ごもった。それを見た心音は、ニカッと笑い、りりちゃんの手を握り 「りりちゃんは、あたし達の名前知ってるでしょ?だからもう、知らない人じゃないよ!」 と言って、そっとりりちゃんの手を引いた。りりちゃんは不安そうにしながら 「そうなの、かな?」 と言った。 私は慌てて、何かフォローしないと、と思い 「うん!そうだよ!だから、一緒に行こ!」 とぎこちない笑顔で言った。心音も頷く。 りりちゃんは 「そこまで言うなら・・・」 と立ち上がってくれた。
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