分かるの

1/1
前へ
/63ページ
次へ

分かるの

私・・・瑠花は、困っていた。 「どこ行くの?」 とりりちゃんがさっきから聞いてくるけれど、それに答えることができない。 ・・・どこに行くか、考えてなかったから。 それは心音も同じのようだ。私は 「うぅん・・・」 と唸りつつ、心音に 「どうすんの?」 と耳打ちする。心音は 「考えてなかった・・・」 と言い、1度言葉を切って 「・・・もういい!りりちゃんに任せよう」 と言った。それが聞こえたのだろう。りりちゃんは 「ボクに何を任せるって?」 と聞いてきた。私が口ごもっていると心音が 「りりちゃん、どっちに行きたい?」 と少し先のT字路を指して聞いた。りりちゃんは迷うことなく 「右に公園がある。そっち行こ」 と言った。ものすごく堂々と。私は (りりちゃんを疑うわけじゃないけど、何でそんなこと知ってるんだろう?) と疑問に思い 「りりちゃん、ここ知ってる場所?」 と聞いてみた。するとりりちゃんは 「えっと、何か、わかるの・・・」 と言った。私が何か言うより先に 「そうなの?すごいなりりちゃん」 と心音が笑った。 (誰とでも上手く話せる心音が羨ましい・・・) と思う。 心音の言葉を聞いたりりちゃんは、嬉しそうにはにかみ 「すごいでしょ!さ、はやく行こ!」 と進み出した。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加