行っちゃだめ

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行っちゃだめ

私・・・瑠花は驚いた。 右に曲がって少し行ったところに、本当に公園があったから。 「り、りりちゃん、すごいね・・・」 と溜息のように呟く私の横で 「すっご!何で分かるの!?」 と心音が驚いている。りりちゃんは 「何となく、ね。」 と言ったあと、公園へと駆けて行った。 私と心音は 「すごいよね・・・」 なんて言い、顔を見合わせてから、りりちゃんのあとを追いかけた。 「りりちゃん、待っ・・・」 りりちゃん、待ってよ、と言おうとした。でも、最後まで言葉が続かなかった。 私は、りりちゃんがいる場所を見て、慌てて 「りりちゃん!そっち行っちゃだめ!」 と叫ぶ。でもりりちゃんは 「え?」 と言い「行っちゃだめ」な方へと進んでしまった。 りりちゃんの 「きゃ・・・」 という細い悲鳴。 ・・・りりちゃんが消えた。 「あれだ・・・あたしらが何回も通った・・・」 そう。あの、奇妙な歪み。 通ると知らない場所に出てしまう、あれ。 「お、追いかけよ!」 怖くて声が震えてしまったけれど、何とか、言うことができた。 心音の手を引き、歪みに向かって駆け出した。
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