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真っ暗・・・
少し歩いたところで、いきなり、りりちゃんの姿が消えた。
いや、下に、落ちた・・・?
「り、りりちゃん?」
私・・・瑠花は、地面に手と膝をつき、りりちゃんが消えた方を見た。
ヒュオオオオオ
すごい音をたてて、風が吹く。
「穴・・・が」
・・・そこには、大きな穴が空いていた。
少し後ろを歩いていた心音が走ってきて
「どうしたの!?」
と叫ぶ。私は、 穴を指さして
「さっきまで、こんなの、なかった、よね?」
と掠れ声で尋ねた。手の震えが止まらない。
(りりちゃんはどうなったの?)
それが、ものすごく心配だったのだ。
心音は、穴のすぐ近くで立ち止まり、中を覗き込んだ。
「真っ暗・・・」
そう言い、心音がその場にしゃがみこんだ。
その瞬間
ヒュオオオオッ
風の音が強くなり、さっきまであった地面の感覚が、消えた。地面がない。
「え?」
何が起きたのか整理できず、目を見開いて、心音の方を見る。
さっきまで心音がいたところも、地面がなくなっていた。
下へ下へと、体が落ちていくのを感じる。
風がすごい。はぐれてしまわないようにと、手探りで心音の手を掴んだ。
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