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心音!?
「何もないねぇ、ここ」
と私は呟いた。りりちゃんが
「そうね」
と言って溜息をついた。もうかれこれ1時間は歩いているような気がする。でも、全然景色は変わらない。
歪みとか穴とかがないか、最初は注意して進んでいたけれど、めんどくさすぎて途中でやめてしまった。
「もーやだー!疲れた!」
突然、りりちゃんが叫び、トス、と芝生に腰を下ろした。私は
「なら、少し、休もっか」
と言い、少し離れたところに腰を下ろして
「心音も・・・」
と後ろを向いた。そして
「え?」
と思わず声を漏らした。心音が、いない。りりちゃんもそれに気づき
「心音!?」
と叫んで、辺りを見渡し始めた。私も辺りを見渡して
「心音ちゃーーーん!」
と叫ぶ。しばらく続けていたけれど、見つからない。
「ダメ。いない・・・」
りりちゃんが、瞳を潤ませながら言う。今にも泣きだしそうだ。私は
「えっと、多分、心音ちゃんなら、大丈夫!だから、泣かないで。探しに行こ!」
と言い、私はりりちゃんの手を引いて駆け出した。
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