心音!?

1/1
前へ
/63ページ
次へ

心音!?

「何もないねぇ、ここ」 と私は呟いた。りりちゃんが 「そうね」 と言って溜息をついた。もうかれこれ1時間は歩いているような気がする。でも、全然景色は変わらない。 歪みとか穴とかがないか、最初は注意して進んでいたけれど、めんどくさすぎて途中でやめてしまった。 「もーやだー!疲れた!」 突然、りりちゃんが叫び、トス、と芝生に腰を下ろした。私は 「なら、少し、休もっか」 と言い、少し離れたところに腰を下ろして 「心音も・・・」 と後ろを向いた。そして 「え?」 と思わず声を漏らした。心音が、いない。りりちゃんもそれに気づき 「心音!?」 と叫んで、辺りを見渡し始めた。私も辺りを見渡して 「心音ちゃーーーん!」 と叫ぶ。しばらく続けていたけれど、見つからない。 「ダメ。いない・・・」 りりちゃんが、瞳を潤ませながら言う。今にも泣きだしそうだ。私は 「えっと、多分、心音ちゃんなら、大丈夫!だから、泣かないで。探しに行こ!」 と言い、私はりりちゃんの手を引いて駆け出した。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加