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・・・・・・
ヒラリ ヒラリ
チョウチョは、まっすぐ進んで行く。
それを追う私達の足元に、苔が増えてきた。フカフカしていて、ちょっと気持ちがいい。
どのくらい歩いただろう。
・・・遠くに、何かの影が見える。丁度、人間程の大きさの。
「あれって、もしかして心音!?」
りりちゃんが叫んで、チョウチョを追い越し、影に向かって走って行った。私も走り、りりちゃんを追いかける。
「いた!いたよ!心音だ!」
それを聞いて、私の不安は薄れた。心音に駆け寄りながら
「心音ちゃん、心音ちゃん!私だよ!」
と叫ぶ。そして、心音が倒れていることに気づき、さっき消えたばかりの不安が蘇ってきた。
「こ、こね、ちゃん?」
目を見開く私の横でりりちゃんが
「心音!心音!」
と言って、心音の肩を揺すり始めた。しばらくそれを続けていたら
「う、あ・・・」
と言いながら、心音が目を開けた。りりちゃんが目を輝かせた。
私は、またちゃんと会えたこと、目を開けてくれたことが嬉しすぎて
「心音ちゃぁぁぁぁん!」
と心音に抱きついた。心音は
「・・・・・・」
と私を不思議そうな目で見た。私が
「え?どうかした?心音ちゃん」
と聞くと、心音は
「あ!いや、なんでもないよ!」
とやけに早口で言い、すい、と目を逸らした。
「?」
どうかしたのかな、と心配だったけれど
(まぁ、なんでもないならいっか・・・)
と思い、心音を抱きしめる手に少し力を込めた。
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