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大丈夫
怖い。怖いけど進まないと。
1歩、2歩と進む。もう1歩、と踏み出したところで
ヒュオッ
と風が通り過ぎた。
「わっ」
驚いて声を上げ、目を瞑る。すると、どこからか、潮の匂いがした。
そっと、目を開ける。
「心音っっ!」
そこには、涙を流しながら笑う、瑠花がいた。
風が吹く。
あたしは、何も言わず瑠花に駆け寄って、思いっきり抱きついた。
それからしばらくして、口を開いた。瑠花と同時に。
「「心配したよ!」」
2人の声が、ピッタリ重なった。思わず、顔を見合わせて笑う。
それから、瑠花に聞いた。
風の音が聞こえたと思ったら、いきなり違う場所にいたこと、あたしがいなくて心配したこと、そして寂しかったこと。
あたしも同じようなことを話した。
「どうして、一瞬で違う場所に・・・」
少し間をあけて、あたしは呟いた。
「これから、どうなるんだろう・・・」
瑠花も呟く。その心細くて、不安そうな声を聞いた私は
「あー! だめだ! もっと楽しくやろう! 心音もそう思うでしょ!?」
と叫ぶように言った。
「言ってること無茶苦茶だけど、だけど、うん・・・そうだね・・・」
瑠花は、何だか、また泣きそうな顔をして、笑った。
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