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いない
私は
「キャッ」
と小さく悲鳴をあげ、目を瞑った。
少ししてから、私は恐る恐る目を開けた。
・・・景色が、変わっている。
さっきまでは、近くに海があったのに、ない。さっきまで海だったところには、ずっと花畑が広がっている。
・・・まるで、世界の果てまで広がっているんじゃないかと思うくらい、ずっと。
その花々の隙間に、狭い足場があって、私はそこに立っていた。
「きれい・・・」
花を見つめ、私は呟いた。そこでハッとした。何で今まで気づかなかったのか。
「心音ちゃん!!!!!」
叫んで、辺りを見回した。いない。どこにも見当たらない。
「あ・・・そうだ!!」
怖さを振り払うように明るい声で言った。それから私は、震えながらスマホを手に取る。ダメもとで心音に電話をかけてみることにしたのだ。慌てているのと怖いのとで、手が震えてしまう。上手く操作できない。
それでも何とか電話の画面を開いて、心音にかけてみた。
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