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寂しかった
はっ はっ
息が苦しい。思ったよりも、だいぶ遠いみたいだ。私は走るのが苦手。そんな私が走っていくには、ちょっと距離がありすぎた。
頭がグラグラする・・・死ぬ・・・
「もーだめ・・・」
足を止めて、膝に手をついた。はーっ、と大きく息を吸って、ふーっ、と吐く。そうして、息を整えていると、いきなり
ドドドドドドドドッ ダンッ
と凄まじい音がした。顔をあげた私は
「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!」
と悲鳴をあげてしまった。
目の前に、心音がいて、私の顔を覗き込んでいた。
びっくりした・・・心臓が今までにないくらいのスピード、音量でバクバク言っている。
色々言いたいことはあったけれど、まずは
「い、いつの間に、来たのよ・・・めっちゃ遠いのに・・・」
と荒い息をしながら言った。すると心音は
「え?さっきだよ!走ってきたの♪そんなに遠くなかったよ〜!」
と笑いながら言った。そんな心音の足の速さを羨みながら
「そう・・・てゆーか、待っててって言ったじゃん!」
と言ってみた。心音は
「うん、でも、私、寂しかったんだよ〜」
と言って、いきなり涙を流し始めた。私は、いきなりのことすぎてギョッとした。
心音が泣いているのを見て、私も涙が出てきた。私は泣きながら
「泣か、ないで、よー、私まで、悲しく・・・」
と言いながら、心音に抱きついた。
心音もそれに応えるようにしがみついてきて、そのまま座り込んだ。
しばらく、一緒に泣いた。
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