7 . 佐伯姫乃

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姫乃は他の生徒に紛れ教室を出ると、トイレの個室へ篭った。 スカートのポケットから盗聴受信機を取り出して、繋がれたイヤホンをつける。 (さて、日吉先生はどう動くかな) 保健室に連れて行くと言っていたが、会話は聞こえない。もう移動したのだろう。 受信機のチャンネルを切り替えながら、声のする場所を探す。 彼女が仕掛けた盗聴器の数は十台。 大抵の場所は会話を盗み聞くことがている。 『先生、話って……』 茜の会話が聞こえたのは、資料室の盗聴器からだった。 (相談内容が漏れてるんだから盗聴器に気付いても良さそうなものだけど……バカなの?) 内心毒付きながら、会話を聞く。 『犯人を捕まえるためにちょっと協力してほしくてな』 『え、メールの犯人、わかるんですか?』 『まだわからない。だから坂本当真を誘拐する』 『え?』 (はああああ!?) 姫乃は驚くというよりも、困惑していた。 (どういうこと? どうして当真を?) 『問答無用で気絶させろって伝えておいたが、あいつは仮面の女をすぐに捕まえなかった。わざと逃した可能性がある。 さっき夕夏を助けたのも、死なせないために犯人を手を組んでるのかもしれない』 朝春は一息に自身の考えを語った。 『今日の夜呼び出す。清水、信じられるのはお前しかいない。協力してくれ』 会話を聴きながら姫乃は頭を抱えた。 (あの教師本気か? 的外れ過ぎる……)
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