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「佐伯もついてねえなぁ。襲われるなんてよ。これじゃあ秘密バラされた方がマシだったな」 言葉を選ばない加藤を、染谷が小突く。 会話を聞きながら違和感を覚えた。 こいつらの言う通り、おかしいことが多すぎる。 他の生徒への罰は全て秘密の暴露だった。 それが今回に限って、直接的な制裁になった。 場所だってそうだ。 どうしてここを選んだ? 天文部では坂本たちがいつも屯している。 騒げばすぐにバレる。 旧校舎ならもっと人目につかない場所もあるはず。 これじゃまるで、わざと坂本たち見つかるように──── 「あ」 加藤が声を漏らした。 窓の方を見ていた。 坂本も染谷も、三人揃って。 反射的に俺も窓を見る。 窓の外には。 逆さまの夕夏がいた。
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