7 . 佐伯姫乃

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9月22日 午前8時00分 翌日。 佐伯姫乃は教室へと向かいながら、溜息を吐いた。 廊下では数人の生徒が、2年2組の噂で盛り上がっている。 メールの被害者が2年2組の生徒しかいないからか、傍観者である他のクラスの生徒たちは楽しそうだった。 芸能人が不祥事を起こしたり裏での秘密を暴露されたりすると、必ずと言っていいほど炎上する。 自分には被害がらないからと、好き勝手非難してはほくそ笑む。 自分たちだって、同じようなことをしているはずなのに、他人の気持ちなど微塵も考えない。 姫乃はそんな生徒たちに、心の底から呆れ果て、同時に感謝していた。 噂に食いつき話したがる自己中心な彼らのおかげで、間宮夕夏を追い詰めることに成功しているからだ。 (そして、毎度邪魔をしてくるあの教師も……) スマホを確認する。 雇った不良達によると、昨夜、日吉先生は当真を呼び出し車で連れ去ったらしい。 争った訳ではないようだが、おそらく連れ去った先で拷問紛いのことをしたに違いない。 (後はタイミングを見計らって、話題を切り出すだけ) スマホをポケットへとしまう。 (ああ、かわいそうに。当真はなんにも関係なのに。大丈夫、もうすぐ私が助けてあげるからね) にやけを我慢しながら、姫乃は教室へと入る。 「え?」 教室はいつもよりも騒ついていた。 2組の生徒達は黒板の前に群がっている。 嫌な予感がした姫乃は人混みを掻き分け、黒板の前へと出た。 「なっ────」 椅子に縛られ、血に塗れた当真の写真が、無数に貼られていた。 そして荒れた文字で『メールの犯人が見つかるまで続ける』と書かれていた。
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