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「そんなはずない!」 姫乃が叫ぶ。 「お前が資料室に仕掛けた盗聴器と同じ盗聴器を用意し、応接室に仕掛けた。お前が聞いたのは応接室での会話だ」 「なっ……」 問題は三つあった。 一つ目は、資料室に仕掛けられた盗聴器は、市販では手に入らないものだったこと。 おそらく特注で作ってもらったのだろう。 単純に資料室の盗聴器を応接室に移動させてもいいが、佐伯が資料室に確認に来た場合バレてしまう。 だから、どうしても新しく用意する必要がある。 二つ目は、周波数。 盗聴器は、特定の周波数を発信し、それを受信することで盗聴を可能とする。 つまり仮に同じ盗聴器を用意したとしても周波数が違えば、佐伯に盗聴してもらえないということだ。 同じものを用意できるはずがない。 用意したとして周波数を合わせることは不可能。 佐伯はそう考えているのだろう。 だが俺には天使からもらったスキルがある。 触れたものを二十四時間限定で複製する『物体複製』が。 外見だけでなく仕組みやデータさえも複製されることは、清水のスマホで実証済みだ。 「か、仮に用意できたとしても…」 「同じ周波数なら混信して受信できなくなるはず……か?」 そして三つ目が周波数の混信だ。 同じ周波数の盗聴器が複数ある場合、それらが混ざってしまい盗聴出来なくなってしまう。 だが、その問題は簡単に解決できた。 「あの時間、資料室のブレーカーだけ落としておいた」 「ブレーカーを……?」 「学校てのは分岐ブレーカーで教室ごとに分かれてんだよ」 「!?」 「このタイプの盗聴器はコンセントから電気を奪って動いてるんだってな。つまり、電気がなきゃ機能しない。あの時間、同じ周波数でも受信できたのは応接室の盗聴器だけだ」     姫乃が悔しそうに表情を歪めた。
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