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学校に着いたのは、ちょうどニ限目が始まった時だった。
携帯には牧野先生から何度も着信が入っていたが無視した。
もう教師の仕事をする必要はない。
夕夏を呼び出すためメールを送ると、すぐに返信が返ってきた。
『旧校舎の屋上にいます』
授業には出ていないらしい。
深呼吸をしてから、屋上へ向かう。
『全ての行為は利己的な欲望の産物。ただのエゴに過ぎない。キミは正しいわけじゃない。ただ自分勝手なだけだ。それを受け入れなきゃ……間宮夕夏を生き返らせることはできないよ』
戸島を殺した時、天使はそう言った。
最初は親父と俺を重ねる為の言葉だと思っていた。
でも今ならわかる。
自分勝手を認めるというのは。
親父と同じだってことを認めることじゃない。
俺のエゴで、夕夏を生き返らせるにはことを認めるということだ。
こいつは最初から、そのことを言っていたんだ。
俺の自分勝手は、夕夏の幸せには繋がっていなかった。
なにも理解してない俺は、こいつの目にさぞかし滑稽に映ったことだろう。
屋上の前に着く。
「さ、キミの答えを見せてもらおうか」
天使の言葉を受け、俺は扉を開いた。
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