僕らのクリスマス

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僕らのクリスマス

 俺はコンビニで今日もバイト。  昨日降った雪が道の端っこに積み上がってる。見てるだけでも寒い。そんな景色の中、歩みを進める。  ふわっと小さな白いものが目の前を通った。まだ十七時(ごじ)前だけど、空は完全に夜仕様。暗い中で白色はよく目立つ。 ……また降ってきたね。  空を見上げると、白い小さな雪が空中をふわふわ漂いながら降ってくる。 「あぁ~、寒っ」  こんな寒い日、人間だけど引きこもりの猫族な俺としては家から、コタツから絶対出たくない。バイトだって仮病使って休んでたと思うんだよね。  でも、今日は十二月の二十四日。  世間的に言うところのいわゆるクリスマスイブだ。そんな世界が浮き足立つ日、バイトへ向かってる俺は浮き足立てない一部の人間?  ううん。そんなことない。  だって……。  カバンの中にしまってあるプレゼント。カバンごとギュッとそれを握ると頬が勝手に綻んだ。  二十四日にカバンの中にプレゼントを忍ばせた俺。そりゃ、頑張って外にも出るよ。だって、こいつをお届けしなきゃいけないからね。  クリスマス参戦派の俺だけど、いわゆる世間の一般の若者たちとはちょこっと事情が違う。何が違うのかって言うと、相手は恋人じゃない。家族でもない。その実態は、同じコンビニでバイトしてる先輩。しかも男。  先輩の倉持さんは、バイトの初日に俺のお世話係に任命されてからずっとシフトが一緒。二歳年上だけど、全然偉ぶったところがない。気さくで、ふざけたことばっか言う人。でも、俺の失敗をいつも笑ってフォローしてくれる。案外頼りがいのある男だったりする。あと、うちのコンビニのムードメーカーっていうのかな? 倉持さんの笑顔はすごくハツラツとしていて、とっても元気いっぱい。見てるこっちまで楽しく、嬉しくなっちゃう。そんな人。お客さんにも大好評なんだ。 「むふ」  ほらね。この場にいなくても、倉持さんを思い出せばこうやって時間差まで使って俺を笑かしてくれちゃうんだ。  それにしても、なんかへんな感じだよね。プレゼントの相手が男で、しかもその相手のことを考えて一人ニマニマしてるだなんて。我ながら変だぞ? って思う。  でも、プレゼントするのって相手が男女とか年齢とか関係なく。やっぱり嬉しくなっちゃうでしょ?   相手がどんな表情するかな? とか、喜んでくれるかな? とか。まぁ、これもあの人の受け売りなんだけどね。  それに、コレ。ただのクリスマスプレゼントじゃないんだよね。  手に抱えたカバンを見下ろし、また「ふふふ」とニヤついてしまう。俺はキンキンに冷たくなった鼻先を指の背で擦って、鼻をすすり上げた。
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