第五話

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☆ 遺跡に似た洞窟を歩き進めて、二十分ほどが経過していた。 魔物を蹴散らしつつ奥へ進むと、広い空間に出た。灯りを持つブリードが、松明代わりの、クリマ付きの棒をゆっくり振る。すると、球体の光が棒から放たれ、部屋の中央辺りで輝く。 照らされた部屋には、大きな石版があった。石版には、絵が描かれている。祈る女性。悪天候。石を手に持つ人間たち。それらの意味をロゼと小太郎の二人は考えた。 ロゼが、石を持つ人間たちの絵を指差す。 「これ、クリマを持っているんじゃないかな」 「かもな。だとすれば、悪天候という逆境の中、クリマを使って繁栄しました、ってところか?」 小太郎が自分なりの解釈を口にした。確かに筋は通っている。だが、正解を知る術がない。これ以上の推測は無意味だろうか。
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