第二話

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「いや。それはいい。それよりも、あれはなんだ?」 ヴォルトが人だかりの方を指差した。人だかりの全員が、一人の少年を見ていた。少年には足がない。代わりにあるのは魚のような尾ひれ。人魚のようだ。首にはヘッドホンと思われるシェルがあった。 人魚の少年は人々に、自分が魔物を倒すと宣言している。魔物というのは、ブリードたちを追いかけた、あの魔物のことだろう。 「本当に、お前さんのような若造に魔物が倒せるのか?」 と、人だかりから男性の声が聞こえた。人魚の少年は胸を叩き、頷いた。 「もちろん。余裕っすよ」 明るい少年だな、とブリードは思った。村人は、心配だ、とざわめく。 そのとき、人魚の少年が身につけているシェルから連絡が来た。人魚の少年はシェルを耳に当てる。
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