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第三話
深夜。月明りが辺りを照らす。三人は海底洞窟の入り口に来ていた。海底洞窟に繋がるルートはいくつかあり、その中でも比較的安全と言われているルートを選んだ。手のひらから球状の光を発したヴォルトが洞窟の中へと入っていく。じめじめしていて、コウモリが今にも出てきそうだ。
「潮の香りがするな」
ヴォルトの後ろを歩くブリードが、誰に言うでもなくつぶやいた。ブリードの隣を歩くロゼが答える。
「ここは海とも繋がっているそうですよ」
「へえ。じゃあ海水なのか」
ヴォルトが足を止めた。そのことに気づかなかったブリードが、ヴォルトの背中にぶつかりそうになる。
「おっと。どうしたんだよ、ヴォルト」
「複数の足跡を発見した」
「えっ?」
片膝をつくヴォルト。足元を発光させ照らす。ロゼとブリードも地面を見る。足元はぬかるんでいて、人の足跡と、太い線がある。
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