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「まさか、一人であの魔物を? よほど実力があるのか」
「いや、そんな風には見えねえけど」
「このままじゃ彼が危険です。とにかく助けましょう」
そう言うと、ロゼは岩陰から出て、走り出した。ヴォルトがため息を吐く。
「少しは作戦を立てようとは思わないのか」
「その間にあの人魚がやられると思ったんだろ。ほら、俺たちも行くぞ」
「ああ」
「ぎゃああ! 死ぬう!」
イカの魔物が、足を振るい、地面を叩きつける。イカの魔物の攻撃を、人魚の少年が飛び込むようにジャンプして、かわした。間一髪だ。が、持っていた杖を落としてしまう。
もうダメだ。人魚の少年が目をつむった。すると、火の玉が四つ、イカの魔物に向かって飛翔した。火の玉を食らったイカの魔物は、後ろに数歩下がり、たじろぐ。
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