第三話

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ヴォルトがロゼに訊ねた。騎士二人が、じりじりと距離を詰めてきている。ブリードは刀を、ヴォルトは拳を構える。 「その心配はいりません」 声は短髪の男性から聞こえた。女性の声だ。不思議に思い、小首を傾げたヴォルト。それを見た短髪の男性が、懐からシェルを取り出した。声はシェルを通して聞こえた。遠隔からの音声のようだ。 「この声……」 声の主に、ロゼは心当たりがあった。女性は、ロゼに向けて話す。 「ロゼさん、フリージアです。心配はいりません。騎士への誤解は、私が説明しておきました。少し話がしたいのですが、よろしいでしょうか。そちらにいるお二方にも話があります」 シェルを持っていた短髪の男性が、がはは、と笑う。 「まあ、そういうわけだ。ここではなんだし、一緒に来てくれるか?」 争う必要はなさそうだ、と判断したブリードは、ゆっくりと刀を鞘に収めた。
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