第三話

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☆ 宿屋に戻った三人は、二階の一室を借りた。部屋を借りたのは騎士団に所属する短髪の男性だ。短髪の男性はアジュガと名乗り、部屋を借りた。 畳の部屋に入ると、まずは手当をするべきだろうとアジュガから提案があり、ブリードは手当を受けた。といっても、擦り傷程度の怪我くらいしか負っていないため、治療は魔術によるものではなく、塗り薬だった。 アジュガは座布団に座ると、シェルを目の前の畳に置いた。 「フリージア殿。聞こえますかな」 「はい。では、聞くとしましょうか」 それからシェルを通して、ロゼは今までの出来事をフリージアに話した。ヴォルトが本物の精霊であることや、闘技場を台無しにした犯人だと騎士に間違われたこと。ブリードが自分を人質にして逃亡することを決めたこと。逃亡した先で魔物の噂を聞き、何とかしようと思い、動いたことなど。細かく話した。ブリードとヴォルトは悪い人物ではない、とロゼは弁解した。ヴォルトについては詳しく質問された。しかし、本人が記憶を失っているため、答えられる質問は少なかった。
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