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☆
同時刻。小太郎の家ではヴォルトがうなされていた。脂汗をかき、無意識に布団を強く握る。
「う、うう……」
すると、ヴォルトの脳内に、女性の声が聞こえた。
『大丈夫、大丈夫だから』
と、女性が言う。過去の記憶だろうか。映像が見える。薄暗い、洞窟のような場所。
女性の姿はシルエットになっていてよくわからない。息切れしているような声の女性はヴォルトに手を差し伸べる。
「ぐっ……!」
ヴォルトが苦しむ。手裏剣でつけられた、腹の痛みが走った。
すると、今度は別の女性がヴォルトに話しかける。場所は先ほどの記憶と違いはない。女性、と呼ぶにはまだ若い、少女のような声だった。
『よっ、相変わらずね』
『何をしに来た』
無機質な声が、少女に答えた。
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