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目に見えないものを信じることができる生物は、ヒトしかいないという。
もちろん、いくらでも反論は考えられる。例えば、番との子孫ではない、共同体の雛を世話する鳥がいるのは、共同体に対して同様の行動を自分の子孫にするように期待しているからというのも、その1つだろう。情けは人の為ならず、というわけだ。
しかし、そういった愛他性だとか、援助行動だとかややこしいことは一先ず置いてほしい。……いや、そもそも今までの話は全て忘れてもらって構わない。今、私は錯乱しているのだ。そのせいで、訳の分からないことが脳裡で駆けまわっているのだ。
目に見えないものを信じることができる生物はヒト以外にいないとしても、目に映った信じ難いものを理解するのは、ヒトですら困難なのだ。
迂遠な言い回しを直ちに止めて結論から申せば、私は今、異世界にいた。
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