氷雪繁栄圏 プロローグ

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 林に積もる雪を見ながら私の好きな鳥を探していると、遠くの場所で地ならしが聞こえた。ノイズに近いもので、すごく小さいモノだけれど、それが地ならしのような音だったのは確か。その後を、何かが走っているようにも聞こえる。……ああ、だけども、大半の音は静寂だ。  雪は音を吸収するらしい。だから、大抵の音はこの下に埋まるものだ。少なくとも私はそう考えており、私の吐いたため息さえ吸収し、無くなっていく事について、何の疑問も持たないのはそのためだった。音はどこからやっていくのかを知っている私は、音がどこに消えていくのかも知っている。
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