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「”そろそろ行こうか?このままでは日が暮れちゃうからねぇ。町まであと三マイル。歩くにしても、突っ切るにしても。早くするのに越したことはない。”」
……鳥をさがしていた。というのは、ただの理由にもならないか。
いつも雪しかないこの場所に、巨大な鉄の塊は転がっていた。生物であり機械的な塊な、巨大な機械の獣と、機体だったものの残骸。仲良く火を吹いて、辺り一面に”それだったモノ”をまき散らしている。私は機体だった残骸に近づいて、鋭い爪で突き刺さったコックピットをどうにか開ける。何時の時代も偉人が残していた技術は敬意を表したい。バールをつかって、てこの原理を活用しながら、そんなくだらないことを半分考える。……それは、この後の光景があまりにも鮮明にわかってしまうから。
グチャグチャになった様相が見て取れた。
それでも、ドックなタグだけは無事だった。
まだ生臭い、腐臭にさえなり切れない鮮血に、少し顔をしかめて、それでもまだ温かそうな手を取った。まあ、状況からして、もうどうにもできない事は分かっているけど。……だから、脈がない事を再確認して、名も知らない彼を弔うために。その首らしきものにかけてあったタグを取り外す。
タグが落ちて、鉄が響いた音がした。
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