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座席に座ると、集めている安物のタグが音を鳴らした。
鉄とオイルを消す消臭剤の匂いが、肺に溜まる。
薄暗い室内をモニターが明るく照らし、先ほどまでいた雪景色を画面の向こうとするかのように、暖かい空気が入り、重厚な機械音が響く。
音が人より良く聞こえる私は、その音が嫌出でうるさいので迷わずヘッドフォンを装着した。
それだけで、ノイズは別世界のように聞こえる。
「どうする?って?」
「”いらぬお節介をかくか。それとも、荷物を増やすか。……ま、おじさんはどれでもいいんだけど。”」
ワタシが何をしようと思っているのか分かっているように、小豆色の機械は答える。
雪山で目立つほどに明るかった機体は、先ほどの吹雪にさらされ、ユキにまみれて凍ったアイスのように白くなっている。それでいてずんぐりとした体形をしているから、私は彼を小豆バーと勝手に命名している。だが、彼はその名称が嫌いだ。…嫌、彼は私が名付けた名前が嫌いだ。
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