ヒポリピス・サジェスト

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ヒポリピス・サジェスト

仕事から帰ると寝室に貼られていた浜名湖のペナントがヒポリピス・サジェストに置き換えられていた。 せめて来年のカレンダーや中山忍の特大ポスターみたいな実用性の高い代物ならまだしも、よりによって壁に貼れもしないヒポリピス・サジェストとは… そのうえ、このヒポリピス・サジェストは一般的なヒポリピス・サジェストと比べて角がなく仰々しいなりをしていて、一見してヒポリピス・サジェストとは気付きにくい点を鑑みると、この場所にヒポリピス・サジェストを置き換えた人物は相当に狡猾な人物と言えよう。  僕は急ぎ姉を呼び出し抗議した。 「姉さん、これを見てくれよ。ここに飾ってあったペナントがないんだよ。そう浜名湖のだよ。」 「これは…ヒポリピス・サジェストかしら?あなたこんな趣味あったのね、知らなかったわ。」 姉は訝しげに答えた。しらを切るつもりだろうか? 「姉さん、知らぬ存ぜぬをするつもりかい?姉さんがこのあいだ連れてきた恋人、たしかヒポリピス・サジェスト職人じゃなかったっけ?」 ちょっと待ってよ!姉さんは声を荒げた。 「あなた、まさかサルマールがあなたの浜名湖のペナントをヒポリピス・サジェストと取り替えたっていうの?たしかにサルマールはヒポリピス・サジェスト職人だけど、あの人は本場イタリアで修行を重ねた一流のヒポリピス・サジェスト職人よ!こんなヒポリピス・サジェストっぽくないヒポリピス・サジェストを作るような時化た職人じゃないわよ!」 姉は気の済むだけ怒鳴り散らすと血相を変えて出て行った。 まったく、恋は盲目とは言ったものだね。 姉さん、ヒポリピス・サジェスト職人っていうのはね。 女を手に入れるためならどんな手段でも用いるんだよ。 そして多くの場合、自らのヒポリピス・サジェストを媒体とするんだ。
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