A-1

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あの人のどこに惹かれたんだろう。 そう思うことがある。 彼女は月あかりに照らされたスノウドームのように透明で、どこかもの憂げにきらきらと輝いていて。 僕は長いあいだ彼女をじっと見つめていた。 でも、もう行こうと思う。 どぶで生まれ育った僕は決して人間にはなれはしない。 二ヶ月前に僕が書いた詩だ。 元、泥男にしてはよく書けた方だと思っているんだけど、どうかな?と友人のハリスに聞いてみた。 「んー、泥男らしさが足りないんじゃないかな?それにどこか体裁を整えようとしているのが鼻につくし…にしても、もう泥男には戻らないのかい?」 ああ、と僕が答えると、もったいないね、と彼は言った。 僕はたしかに彼女に恋をしたし、この詩もその気持ちになぞらえて作り上げたものだ。  だからこそ泥男のままじゃいられないと、この短期間で頑張ってヘドロ男にまでなった次第で。  この調子で変態を重ねていけば僕もいつかは人間になれるかもしれないし、素敵な女性を射止めることがきっと出来るんじゃないかな。 
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