ぞくぞく

捜索

長谷川さんの願いは届かず気配は霧散してしまった。やはりその場所に足を運ばないと無理なようで…。

聡さんに連絡を取り、次の休日にモノレール駅改札口前のドーナッツ店で待ち合わせた。体験した状況の詳細を改めて話してから、店を出て改札口の中へと向かう。

聡さんが「長谷川さん2番線ホームから乗ります」と声を掛け、先頭車両ドア前で到着を待った。二人には少し落ち着かない空気が漂うが、ホームで待つ乗客も疎らで、あれを捜索するには丁度良い感じがする。

そろそろスポーツセンター駅に差し掛かる辺りで「長谷川さん、この駅を出て暫くすると感じる筈です」と小声で告げる。

動物公園に向かう中、微かな視線を聡は感じ始めていた…。長谷川さんは目を瞑り静かに佇んでいる。

難しい言葉は要らない。
心から願う事が最良に導く。

心の中で「どうぞあなたの真の姿をお見せください。どうぞあなたの悲しみをお話ください」長谷川さんは何度も何度も心の中で念じ続けた。

聡は今まで以上に視線を感じていたが、それは少し先のJR線連絡駅の方角に思え、そこは動物公園を過ぎて２駅目となる。

あなたは私に何を伝えたいの？。
聡は心の中で静かに問い掛ける…。