そして

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そして

 酒川旬は運転していた。 「叶多、依頼人にさっそく一つ目届けよう」 俺はうなずく。  依頼人は末永という男だった。 馬の像を渡すと末永は受け取り床に叩きつけた。馬の像が砕け散る。 「樽井さん酒川さんあと2つよろしく」 末永はそう言うと砕け散った所に馬の像の中に入っていたと思われる黄金の塊を取る。  なるほど、像はフェイクで残りも中に何かしら入っているのか。俺は納得する。  帰りは俺が運転。 酒川旬は気付いている。ハンバーガー屋に寄る事を。もちろん寄るつもりだ。 「末永ってどんな奴なんだ?」 俺は聞いた。 「骨董品好きのおっさんだよ」 「違うな、なんかでっかい組織の偉い奴って感じだ」 俺はそう感じた。楽な仕事に思えてだけど実はとんでもない事に巻き込まれたんじゃないか?酒川旬は気付いてない。なんか嫌な予感がする。あと2つ無事に盗めるといいのだが。 「考えすぎだって」 酒川旬は笑う。  ハンバーガー屋の駐車場に車を停めると酒川旬はやっぱりなという顔をして車から降りる。俺も車から降りて店内へ向かう。  チーズバーガーにポテトとコーラ。腹が減ってあっという間に食べてしまう。ポテトをつまみながら煙草を嗜み、コーラを飲む。 「堰うらら、誘えばいい」 俺は言った。 「誘う?ホテル行きませんかって?」 「あほか、その前にデートに誘って恋人申請をして審査に通ったらめでたくホテルだろうが」 「恋人申請って···審査って···」 酒川旬は苦い顔をする。 「とにかく堰うららを誘うことからだな」 俺は言った。 残りは2つ。何事もなく盗んでさっさと友の恋を成就させたいものだ。  
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