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発生
煙草を嗜みながら酒川旬を待つ。
樽井叶多、つまり俺の名前を知っていた。
鷹の像を知っていた。関係者か他に狙っている者がいるか?どっちだ?オークションハウスの時多分スタンガンをあてられた。あれは救急車の奴が言っていた忠告だ。探すなという忠告。
旬が来て車で帰る道すがら説明する。
今日はひとまず解散となった。
俺は代田ひかりのマンションで降ろしてもらう。
代田ひかりと過ごすひととき。
裸になったひかりと裸になった俺は抱きしめ、唇を合わせる。舌が挿入された俺は舌を絡ませる。唇を離して俺はひかりの身体に指を這わせる。びくんびくんとひかりが反応を示す。ひかりの手が俺の突起物を優しく握る。俺はひかりのあそこに指を擦らせる。興奮が高まる。
「叶多、忙しいの?」
ひかりがベッドで俺の腕のなかで言った。
「そんなことないさ」
「なんか疲れてるみたいだから」
「ひかりはどうなんだ?」
「私は別に」
ひかりは俺の乳首にキスする。
俺はひかりの頭を撫でながら今日の答えの出そうにない問題を解こうとした。
「本当に会ってくれるなんて、ありがとう」
酒川旬は微笑んだ。高級ホテルのスイートルームを取ってよかった。
「酒川さん、私こそありがとう」
堰うららが言った。
「何もうららさんからお礼を言われる事はないよ」
「変更になったの、邪魔はしないから、無理矢理盗ませる、言うことを聞かなかったら監禁してる身近な人物を殺すって」
堰うららが言った。
「うららさん?鷹はうららさんが?」
酒川旬は唖然とする。
「ちょっと違う、末永の側近が私」
「末永は守銭奴なんだ?泥棒に金は払いたくないって?」
酒川旬は事情がわかってきた。
「そうね、でも酒川さんを誘惑する筈だったから」
「うららさんから誘惑されなくてもうららさんが好きなんだよ俺」
どさくさに紛れて告白。
「でも、私は、酒川旬を」
そこまで言ってスタンガンを出す。
「俺が監禁大当たり?恋人申請やっぱ必要だった?」
どうしたらいい?堰うららが悪に染まるのは見たくない。
「代田ひかり?たった今監禁したって、綺麗な女性だね、樽井叶多の恋人だってね」
「俺は堰うららさんの恋人になりたい」
こんなときに何を言ってるのか。
スタンガンを堰うららからくらわされる。仕方なし。恋する女性だからいい。
代田ひかりと酒川旬は一人一人別の個室に入れられた。堰うららは戸惑っていた。わざとスタンガンにあたった酒川旬は私を好きなんだ。でも末永には逆らえない。
堰うららは末永の所に歩いて向かった。末永の美術品を集める趣味の悪い三階建ての別荘だが居心地が悪い。
裏切れやしない。
仕事とプライベートは線をひかなくては。
堰うららは言い聞かせる。
「代田ひかりと酒川旬を監禁して、樽井叶多をここに来るように仕向ける、無理矢理盗ませる」
末永は堰うららを見ると言って鷹の像を床に投げる。鷹は砕け散る。案の定黄金の物体が床に転がっている。末永はそれを手にしてニヤニヤした。
「樽井叶多を連れてこい、誘惑してでもな、ただ企みはバレないように」
末永は言った。
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