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「この辺も大分、栄えてきたね」
グルリと村井君は見渡す。
「そうですとも。お店も沢山出来てきましたし。団地が沢山建ってから変わりましたわ。団地以外にもいっぱい、集合住宅が出来ましたものね」と、山下さん。
車は南へ向かって行く。北区を抜けると、荒川区に入った。戦後の名残りのバラック小屋が続く。
駅周辺は混雑し始めた。世の中が始動する時間だった。
「早い時間に出て来て良かった。まぁ、この時間じゃないとダメなわけだが」
村井君は言いながら、あくびをする。
山下さんが運転するベンツは、あっという間に台東区へ入って行く。一分間違えたら、渋滞に巻き込まれていただろう。
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