昭和大学生 夏子は謎解き男子に振り回される

初恋とはしか事件

店長の丸いメガネの向こうでは、何故か黒い瞳孔がキラッと光る。何をそんなに媚びを売ろうとしているのか。
「あぁ、知ってます。うちの学生も彼の家がケーキ屋を出店したこと、言ってましたから」
　ケーキ屋の事業も最近始めたらしく、東京駅の前に店舗を出したことは、私も知っている。これから店舗を広げていくのだそうだ。
　そんなことを、親友のゆっこは言っていたっけ。ゆっことは、橋村由美子さん。彼女の実家は浅草で開業医だと言う。彼女もご令嬢なので、この家賃の高い上野駅の周辺のアパートに一人暮らしをしている。
　大学が近いから便利なのだそうだ。