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帰りは、山下さんが車で自宅の赤羽台団地まで、送り届けてくれた。山下さんが執事的な役割もこなすらしい。彼女は家政婦長なのだという。そしてもう一人、家政婦が居るのだという。今日は休みなのだそうだ。
「うちはね、給料は高いし休みも充実してるし働きやすいわよ。お坊ちゃまも奥様も良い人だしね。みんな住み込みじゃないのよ。通いなんだけどね。住み込みにするか通いにするかも選ばせてくれるしね」
車の中で山下さんはそう教えてくれた。とってもホワイトな雰囲気の職場なのだろう。
家に着いたときには、夜の闇に包まれていた。巨大な団地群が周りに広がる。点在する団地からは白い光が漏れてきて、明るかった。
「ただいま」
玄関から家に入ると、どっと疲れが押し寄せた。
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