背中を見つめ続ける体温

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背中を見つめ続ける体温

入り口付近に到着した界は、あまりの景色の変わりように目を瞠る。 「うっわぁ……。あんな綺麗なとこ見てからだと、余計荒れ果てて見えるな」 外の景色と中の様子を比べてつぶやいた。 さっきまであんなに整理されて綺麗だった景色が、今は荒れ果てている。 いつも寝泊まりしているところですらあれ程綺麗ではなかったから、そこまでの変化の仕方にはまだなれていない。まだ頭が追いつかず、界はしばらく立ち止まっていた。 「こっちが現実か」 頭が追いついき、やっと寝る準備を始める。といってもそれ程ものではなく、背負っているかばんから小さい毛布と携帯食を取り出しただけだ。 携帯食をバクバクと食べ、毛布にくるまった。 夜を明けるといっても、朝になって明るくなるはずもない。ポケットから時計を取り出し時間を確認する。そうじゃないと、時間が分からなかった。 今は9時。寝るには少し早いか。 かばんからメモを取り出し、今日のことをまとめる。 特にこれといった情報が集まらなかったこと。そして―― ――ロボットの少女と出会ったことを。 書き終わると、30分が過ぎていた。それでもまだ早いが、まあいいだろう、と眠りについた。
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