散策途中での秘密の部屋

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散策途中での秘密の部屋

界たちは少し他愛もない話をしながら、デパートの中を探検していた。 場所は地下。 瀬利デパートの地下には、食品などの倉庫があるからだ。食べられるものは貴重で、できれば多く手に入れておいた方がいい。 ……というものの、今はもう食べられるものなんて、ほとんどない。賞味期限切れや腐ったりカビたりしているものくらいしか、なくなってきている。今食べているものは、少し回復しつつある、人が住んでいる場所の中心地でつくられた、食物や化学製品などを材料としたものだ。 最初の頃こそこういう店に売っている非常食などを食べていた。だがしかし、減ったといってもまだかなりの人がいる世の中。そんなものはすぐに尽きた。 「やっぱりないか……」 界は一通り見終わった後、大きくため息をつく。あると期待していたわけではなかったけれど、ユウナがいるのであれば……と考えていたので、地味にショックだ。ユウナは自分が任されたもの以外はやらないようで、そこは機械なんだなぁと感じされてくれる。 そういえば―― 「ユウナさん以外に機械はいなかったのか?」 そんな疑問が湧いてきた。ユウナが任されていなかったのであれば、違う機械がその任務を担っていたのではないか、と。 「前は……いました。ですが十年前、私の、私のせいで、壊れちゃったのです」 ユウナは人のように、悲しんでいるような顔をしている。でも、いつだってユウナの目に涙はない。 機械だから、なのだろう。 「ユウナさんの、せい?」
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