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夜になって界が寝静まった頃。
ガチャッ
地下にユウナが来ていた。開けたドアは、界が開けようとした扉だ。その扉の向こうには、動いていない機械、バラバラになった機械、そして――
――動いていない、壊れかけた人型の機械。ユウナはそのロボットの横に佇む。
「ユウアちゃん……。もう少しでここ、崩れちゃうそうです。私、どうすればいいんでしょう。一緒に壊れた方がいいんでしょうか。そんなことしても、何も変わらないですけど……」
ただただ話し続けるユウナ。
ユウアと呼ばれるロボットに発条はない。
「ねえ、ユウアちゃん。私、私ね……好きな人が、できました。界さんっていうんです。おかしい、ですよね。会って間もないですし、まず私はAIロボットですから。自我があるといっても、複雑な気持ちは持てないはずなのに。どうしてこんな気持ちが生まれたんでしょう。でも、今日でお別れなんですけどね。そうしたらまた、ひとりです。せっかく二日間にしてもらったのに、こんな気持ちが芽生えるなんて……」
不意に立ち上がり、泣きそうな顔でユウナは言った。
「ユウアちゃん。ではまた、です」
ガチャッ
ユウナはそう言い残し、その部屋を出ていった。その部屋の中には、変わらず壊れた機械で、溢れ返っている。しかしなぜ、ここには壊れた機械しか、ないのだろうか……。
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