ロボットの少女と出会い

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十年前、世界はいきなり、崩壊した。 なぜそんなことが起こったかは、未だわかっていない。 毒の雨が降った。空は雲で覆い隠された。 そのせいで、植物は育たなくなり、家畜は死んだ。 知恵ある人間も、元の人口の100分の1に激減した。 ――そして今。 生き残った人間たちは、その謎を解明すべく世界調査捜査機関(World Search and Investigation Agency)、通称、WSIA(ヴィシア)を立ち上げた。その機関は、いくつかのグループに分かれ、荒廃した街を観察し、謎解明に日々励んでいる。 そのWSIAに幼いころから属する界は、六丁目捜査官として、役目を全うしている。今は幹部となるまでに成長し、一人で調査にむかうことも増えた。今日も一人で、調査に来ていたのだ。 ただ、この機関に入ったのは界自身の意思、というわけではない。 生まれながらの運動神経の良さ、優れた頭脳、それをWSIAの上の人に見込まれた。 そしてそんな界はお金のため、親に売られてしまったのだ。 確かに、こんな世界で生きていくためにはお金が必要だが、それで子供を売るとは、よほどの親なのだろう。 そんな親のせいで、界は心のよりどころを探していた。 きっと、今までないくらいの好意を向けられたら――
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