世界の荒廃が起きた理由

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デパートからそう遠くない、かろうじて形が残っているような場所に、界は着いた。 歩いてきた方角を見ると、デパートがまだ見える。 「はぁ……。ほんと最後のは驚いたな。そういえば、ユウナさんのこと機関長にどう説明したらいいんだろう」 どうせなら音声でも取っておけばよかったなぁとうなだれる界。 だが、今までのことから自分の言葉は信じてもらえるだろうと思って、心を持ち直す。 「あ、そういえば機関長に、今日聞いたことを報告しなくちゃな」 いつ報告するか少し迷って、時間があるからと今から報告することにした。 ザザッ 「――あ、あ~、こちら、六丁目捜査官、乃波羅 界。只今、帰還中。遭遇したロボットの話を報告します」 ユウナは自分を機械じゃなくロボットだと強く言っていた。最初報告したときは機械と言ってしまっていたが、今はロボットと間違わないように気を使う。 これで少しでも罪滅ぼしになればなぁ、と。 『待っていたぞ。報告してくれ』 そう言われたので、界は聞いたことを何の偽りもなく話した。機関長がたまに驚愕の声を上げている。それはそうだろう。今まで原因すら分からなかったことが今、するすると糸がほどけるように、解き明かされているのだから。 『そうだったのか……よくやってくれた。これで他の捜査官の気苦労も少しは減るだろう。君はとても素晴らしいことを成し遂げてくれた。無事に帰ってきてくれ』 「はっ!」 そう言って、会話は終了した。懸念も杞憂だったことが分かり、ほっとする。 もう時間は寝るくらいの時間だ。さあ寝ようと界が毛布をかぶった時―― ――ドカン! と近くで大きな音がした。何事かと思って、外に出る。建物が崩れる音は日常茶飯事だが、なぜか焦りを隠せないでいた。 いつも通りの薄暗い視界の中に、さっきまでいたデパートが、崩れているのが見える。界はハッとして、大声を上げた。 「ユウナさん!」
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