建物の崩壊と最後の決心

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そうやってしどろもどろしている間にも、時は進んでいる。 ユウナが、デパートに向かって歩いていった。 「ユウナさん!」 とにかく今は止めなくちゃと、めいいっぱいの大声で叫んだ。 するとこちらに気付いたのか、ユウナが界の方を向く。 そして、憂いを孕んだ笑みを向け、もう一度前を向いて進みだした。 でも、この音量ならユウナさんに届くのか! 界は決心する。この思いを、届かせることを。そんなもので止まってくれるかなんて保証はない。でも、少しでも可能性があるのなら、言おうと界は思う。 大きく息を吸い、さっき以上の声で叫んだ。 「ユウナさん! 俺もユウナさんが好きだ! さっきの好きとは違う! 本当の『好き』だ! だから、だから戻ってきてくれ!」 最後の頼みの綱。届いてくれと、戻ってきてくれと、そればかりを願う。 恐る恐るユウナに目を向ける界。その視線先には―― ――この数日間、見たことないほどの笑顔があった。 界に向かって一歩ずつ歩いてくるユウナ。 その時間が、とても長く感じられる。 そして、ユウナは界のもとにたどり着き、笑顔で言った。 「ありがとうございます!」 「こちらこそ、ありがとう」
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