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「意外と中は綺麗だ。外面はぼろいのに……」
外見の古さを感じさせないほど、中は綺麗に整っていた。
奥の方が気になって、界はどんどん進んでいく。
捜査の基本は、建物の奥までいかず入り口付近で寝る、である。
万が一崩壊した場合、逃げやすいからだ。
やはりこんな人口が少ない中では、一人の犠牲が多くの犠牲になる。
命の危険を与える割には、死ぬなという、とても難しい世界だ。
界は分かっている。奥に行くのは、ダメなことだと。だが、気になって仕方がなかった。こどもは好奇心には勝てない、とはこういうことを言うのだろう。
「綺麗といっても、見た目だけだな。てことは、誰かが整備してんのか? いや、そんなことないだろ。じゃあ、どうしてこんなに綺麗なんだ?」
誰もいるはずがない。こんなところでは、生きてはいけないはずだからだ。
じゃあなぜ、ここはこんなに整備されているのだろう。
その理由を突き止めることも、自分の仕事だと思い、また奥に進む。
ドサッ
歩いていると、物音が聞こえてきた。
「なんだ?」
誰かいるのだろうか、それとも幽霊か何かか。
界は、ギイッっと物音が聞こえた場所のドアを開けてみる。
「えっ?」
そこには、一人の少女が立っていた。
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