背中を見つめ続ける体温

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――親に売られた。 それ自体は珍しいことではない。界の周りにも売られた子供はいた。ただ、やはり親に売られるということは、当時まだ6歳ほどだった子供には苦痛でしかない。 あまりに唐突だった、友との永遠の別れ。心のよりどころである親との決別。 界は頭がよかったので物分かりはいいが、そのことを受け止められるほどの精神など持ち合わせていなかったのだ。 いや、頭が良かったからのことだろう。周りの子たちより早くに今の状況を理解しそして、最初に絶望した。 それからは、自ら孤独を選ぶようになった。最初こそ話しかけてくれる人はいるが、相手自身にそんな気はないと分かれば、どんどん離れていく。それは当たり前のようで、界の周りもそうなっていった。 もう誰も失いたくない。 いつまたあの日のようになるかはわからないから。 また失ってしまうくらいなら俺は――…ひとりでいい。 でもそんな絶望の中でも、前を向いて進む人がいる。見るたびにあきらめてしまった自分自身と重ねて、イライラが止まらなくなった。 あれも例外じゃない。機械でも、あんなにまっすぐな目だった。 うるさいな。 過去と思いがまじりあった、胸糞悪い夢。 それもさっき、あんな目を見たからだ。
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