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『友達に誘われて一緒にサンタ衣装を着ることになった胸も派手さもないレズ女』
──あれは12月の…10日だったかしら。
高校時代の同級生、麻倉 奈月から連絡があった。
『あのさ、柚木ってコスプレとか好き?』
「…は?質問がいきなり過ぎて分からないんだけど。」
『いやー、ね?何て言うのかな、コスプレのイベントがあって、サンタなんだけどー♪』
…まぁ、良いかと快諾した。
…私のはコスプレじゃなく、男装なのだけど。
…まぁ、“コスプレ好き”と言うのは間違ってもないか。
──コスプレって言うか…女好き、なんだけどね。
「…似合ってねー。」
──12月24日。…部屋で一応確認してみた。
…流石に二度と着ないと思うし、ドンキで済ませたのがいけなかったか…。
…それにしても似合わねぇ。何でこんなに似合わねぇんだってくらい似合ってない。
…何でと言えば髪型の所為だろうけどね。…男用のサンタ衣装にでもするんだったかな。胸のサイズ合ってないし。
「はぁ…。」
この前買った方よりは良さげだけど…3着も衣装を買いに行くのは何か嫌だわ。
…いっそトナカイにでもして、ソーセージにでもしてくれと思う。
…そうだ。ソーセージ食べよ。
「はぁ……。」
「…うわ。」
東京某所。パーティー会場に来てみると、思ったよりサンタだらけだった。
…流石に期待していたような際疾い衣装の子はいない。
「あ、ユズキ!お待たせっ♪」
「…よ。
って、その人は?」
──黒髪ポニテの美人。…こう言うのを大人の色気って言うのか。…どう見てもサンタなのに、OLのオバ……お姉さんって感じ。
「…最上 桃子です。麻倉さんに誘われてしまって…。」
奈月「そ。じゃ、行こっ♪」
「ちょっと麻倉さん?まだ自己紹介が…」
…奈月の視線が一瞬、向こうの男達に向いたのに気付いて、成程と納得する。
──合コンだ。私と桃子さんは奈月を目立たせる為のダシってことらしい。
…まぁ良いか。
「まぁ、こっちはこっちで適当に楽しんで置けば良いと思います♪
あ。私、飯尾 結月って言います。 」
「あ…はい、宜しく。」
「…。」
チラっと胸を見られた気がするので見返してやる。…あちらの方が多分5倍くらいある。
私「い…行きましょうかっ。」
「?…はい♪」
…素敵な微笑の、物凄くタイプな人だ。
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