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「おめでとう!!」
祖母を囲んで乾杯の輪が広がる。パーティのはじまりだ。
壁際に追いやられたクリスマスツリーが赤と緑の灯りを明滅させている。テーブルには所狭しとご馳走が並べられ、飲んだり食べたりしゃべったり、みんなの口は大忙しだ。
「ただいま」
ばつの悪そうな声にふり向くと、弟が居間のドアから顔を出していた。
「なによ、帰ってきたの?」
からかってやろうと口をひらいたあたしの目に、弟のうしろから顔をのぞかせている女の子が映った。
「こんばんは」
緊張気味の可愛らしい声だった。
「突然お邪魔してすいません」
「ばあちゃんの誕生会あるんなら早く帰らなきゃって怒られて……連れてきた」
照れくさそうに彼女を紹介する弟は、なかなかに男前に見えた。
「どうぞ入って!」
あたしは彼女の手を引っぱってテーブルに案内した。
大きなケーキが運ばれてきてハッピーバースディの合唱がはじまり、祖母がロウソクを吹き消す――歓声と拍手。
あらためて飲み物が配られ、今度はクリスマスを祝う乾杯だ。
「メリークリスマス!」
弟の彼女とグラスをあわせて笑い合う。
――こんないい子、どうやって捕まえたのか後でじっくり聞かなきゃ。
祖母を見ると満面の笑みで幸せそうだった。
「姉ちゃんも来年は彼氏連れて来れるといいな」
弟が言い放つ。
あたしのモンゴリアンチョップが火を噴いたことは言うまでもない。
(おわり)
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