あの日、あの時、あの場所で。

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ポンッという音がして、機内アナウンスがなった。 ようやく到着かと私は肩を回した。2時間のフライトは意外と疲れる。機内モードを解除して、最後に届いていたメールをクリックする。 『所長 お疲れ様です。 村山くんが少し遅延で遅れていますが会議は時間通りに行えます。』 返信はタクシーに乗り換えたあとで良いかとそのまま携帯をポケットに入れた。それにしても村山くんが遅れるとは珍しい。彼はうちの娘と同い年なのにとても良い仕事をしてくれる。 娘は容量も悪く不器用で…と、悪いとは分かっているが、ついつい比較してしまう。昨日だって会社で虐められてるだなんて言っていたが、どうせ娘のことだ、周りに迷惑ばかりかけているから小言でも言われたんだろう。 娘のことを考えたからか着陸の気圧にやられたのか、頭が痛くなってきて視線を窓の外へやった。そこには長旅を労ってくれるかのように一礼してくれる係員の姿があった。
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